分からないけど、面白い。

コンテンポラリーダンスを見るひと初心者のブログ

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2016/1/29 インバル・ピント&アブシャロム・ポラック ダンス・カンパニー「DUST - ダスト」 @彩の国さいたま芸術劇場

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3ヶ月以上ぶりのダンス鑑賞、3ヶ月以上ぶりのダンス鑑賞のきろく。生活がダンスやアートから完全に離れていたせいか、とても新鮮な気持ちで見ることができました。やっぱり私の人生には芸術がなくちゃ、と、しみじみ…。ダンスを見るのも、感想書くのも、なんだかリハビリみたい。時間もなかなかとれず、アップまで2週間以上かかってしまいました。

見に行くと決めたわけ

たまたまテレビで自撮りのドキュメンタリー番組がやっていて、森山未來さんのイスラエル滞在の様子を見たのがきっかけ。だいぶ前だったと思うけど…「踊る阿呆」というタイトルがついていたみたいです。とにかくその作品の日本公演があると知り、すぐにチケットをとりました!

ダンサーは、身体で話す

入りは、独特な線画のアニメーションから。帯のような細長いスクリーンに映しだされます。洪水のような大量の水に、ものが押し流されたり、建物がひたっていたり…水の流れをたどっていくと、教室のような部屋の中で、女の子が涙を流していました。災害の描写でありながら、どこか幻想的なアニメーションは女の子の夢のよう。

舞台には机と椅子がならべられ、同じ格好をした5人の生徒が座っています。女の子はおさげの髪型でそろえていて、なんとなく無邪気さを感じます。登場人物はもう一人、先生のような青い服の男性。ひとり愚かで滑稽な人物に見えます。そして舞台のすみには、ユーモラスだけれどどこか気味の悪い、黒い格好の何ものかがそっと存在している。

ダンサーが踊り出すと、ぶわっと久しぶりの感覚が!!ダンサーは、身体で話すんだ。と、改めて。ある意味当たり前のようにも思えるけど、それを感じられるって、すごく貴重なことですよね。

なんというか、ずっと風が吹いているような感覚のする作品でした。音のせいもあるのかもしれないけど、もっと精神的な意味で。うまく表現できないけれど、ずっとその、どこか乾いていて冷めたような風を、ひゅうひゅうと体をさらすような感覚で、感じていました。

とても豊かな舞台なのに、その風は、何もない虚無感、そわそわした落ち着かなさ、ちょっとした絶望みたいなものをはらんでいました。けれどそこには、ずっと続いていくものの普遍さも、同時に存在しているよう。そんな風を感じさせる作品でした。

感想が抽象的ですね。。。

無表情で踊り続けるダンサーたちからも、そんな印象を受けたのかもしれません。DUST…ちりが風に飛ばされ、積もり、また飛ばされ、という無常観も、風のイメージとつながります。でも、決して熱を失ったわけではない。無表情でありながらも、ダンサーたちの力強さが、そう感じさせてくれました。

舞台の上では、いろいろなものがやってくる/出て行くドアが気になりました。どこか別の世界につながる、小さなドア。(最後に長ーーーい棒が出てきたのにはびっくり。。。)ドアには窓がついていて、それもところどころで演出のポイントになっていました。机についていた窓もそうですが、あちらとこちらを行き来する穴には何か特別さを感じてしまう。

その他、ダンサーがひとりずつ、時計の秒針のように時間差で動いていく振付や、椅子とのダンスなど、見どころも多くて楽しかったです!森山未來さんのダンスも初めて生で見て、こんなに踊れる人なんだーと感動。平日夜にはるばる埼玉まで行ったかいが本当にありました!!

おわりに

ドラマチックに展開しつつ、詩情があって心にじんわりと響く。素晴らしい作品でした!狭い部屋の中が、どこまでも無限に広がる。やっぱりこれが舞台の魅力!!久しぶりにダンス鑑賞の楽しさを味わわせてくれたこの作品に感謝です。

それにしても。観ることも、書くことも、感覚を取り戻すまで少し時間がかかりそうです。。。本来2月はTPAMなどダンスが楽しいシーズンですが(そしてそれを楽しみにしていたのですが)、私はしばらく、ゆっくりモードの運転になる予定です。

覚書: インバル・ピント&アブシャロム・ポラック ダンス・カンパニー

HP Inbal Pinto & Avshalom Pollak Dance Company

映像


WRAPPED | Inbal Pinto & Avshalom Pollak

 


Inbal Pinto & Avshalom Pollak Dance Company - Wallflower