分からないけど、面白い。

コンテンポラリーダンスを見るひと初心者のブログ

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2015/8/30 「ダンスが見たい!17 春の祭典/山田せつ子」 @d-倉庫

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「ダンスが見たい!17 春の祭典」予約した3本のうち最後の作品。とても美しくて、感動しました。見に行って良かった。感じたことを言葉にするのは相変わらず難しいけど、見た舞台が私の目と脳を通ってさらに指とキーボードと画面を通してようやく言葉に変換されているってことは、もう"そのまま"表現なんかできるわけないんだって思いはじめました。でもあきらめないぞ。

見に行くと決めたわけ

今回の「ダンスが見たい!17 春の祭典」では、3回券を買いました。鈴木ユキオさんと川村美紀子さんを見たいというのは決まっていたのですが、あと1人は誰にしよう?出演するダンサーのことはほとんど知らないので、フィーリングで決めることに。サイトの紹介文に目を通していた中で、キャリアの長さと、「ピュアな作品作り」というワードが気になって決めました。

山田せつ子さんは、とにかく美しかった

3度目のd-倉庫。予約がいっぱいで席を増やしたのか、舞台にすごく近い最前列で見ることができました…!少し遅れての開幕、新聞紙に包まれた何かを大切に抱えた山田せつ子さんが登場。中には黄色い木くずのような粉が包まれていて、静かにサラサラと落とし舞台の右奥に小さな山をつくる。

山田せつ子さんは、静かな迫力をたたえた、美しい人でした。振付は繊細で、手指の動きに目が吸い込まれました。間近で見られて良かった…!全てを知り悟った者のようにも、純真無垢な幼い者のようにも見える、美しいおどり。骨ばったような手指、足のとても丁寧な動きが印象的でした。

先に見た鈴木ユキオさん、川村美紀子さんの作品がぶつかり合うような激しさを持っていたのに対し、山田せつ子さんは、激しいながらも自分のものとして踊っていて、流れるような、ひとつのかたまりになっているような感じでした。曲の強さに、たった1人で踊り負けない静かな強さにも惹かれました。

途中、照明が暗くなり、静かに歩くシーンがあまりに美しくて、1歩1歩、運ぶ足にただ見とれていました。その後のシーンは、どこか死の香りがただよっているように感じました。その美しさがまた感動的。しだいに変貌していく踊りは、生贄の獣が、自らの行き先を探しているようにも見えました。ただよう死の気配と対照的に、飛び散る汗が生の爆発のよう。

終盤は、もはや幻想のようでした。新聞紙を面のようにして激しくおどる様子は、異形の獣のよう。いちばん最後、静けさの中で、丁寧に身体を運ぶ様子は本当に感動的でした。何かが生まれるような、ここから何かが始まるような。最前列で見られたことにも感謝。素晴らしかったです。見終わって拍手をするとき、感動で自然と笑顔になっていました。

とにかく、音のないシーンでの美しさが際立っていました。ずっと音がない作品を踊る機会があるなら見てみたい、と思ったぐらい。また、山田せつ子さんの踊りには「信じる強さ」があるように感じました。何を、というのは言葉にしにくいけれど…「ダンスという表現」を信じる強さなのかも、とも思いました。

おわりに

今回「ダンスが見たい!17」で見た3本の公演すべてで思ったことなのですが、この1回きりなんてもったいない!と思うような素晴らしい作品ばかりでした。しかも、3回券だと1回あたり2000円!感謝感謝です。私みたいな初心者にも行きやすく、良い経験になりました。こういうフェスティバルほかにもあるのかな?探してみよう。若い方も大御所も、もっともっといっぱい見たいなぁ!

ところで、舞台の右と左って、観客から見た方向で書くのか、演者から見た方向で書くのか、決まっているんだろうなとふと思いました。見て感じたことを言葉にしていく上では、そのあたりも調べないといけないかも。何を知らないといけないのか自体を知らない初心者だと改めて実感。

覚書:山田せつ子さん

山田せつ子さんも、舞踏が出身とのこと。素敵だと思ったダンサーのルーツが舞踏だったのは2人目!ちょっと調べただけでは舞踏のことがあまり分からなかったので、きちんと勉強しないとなぁ。。

HP 更新が止まっているよう。 http://setsuko-yamada.com/

映像


『ふたりいて』山田せつ子 ー Short Ver. - YouTube


『薔薇色の服で』山田せつ子 - YouTube