分からないけど、面白い。

コンテンポラリーダンスを見るひと初心者のブログ

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2015/8/21 「ダンスが見たい!17 春の祭典/川村美紀子」 @d-倉庫

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ダンスが見たい!その欲求に応えるかのように、激しく、ダンスでした。コンテンポラリーダンスをちゃんと見始めて、感想をつづりはじめて3本目の舞台がこれ。見た直後の感想メモが、我ながら断片的すぎです。。よちよち歩きでダンスを見ている私には毎回ハードルが高いけど、今日も、言葉にしてみる努力。

見に行くと決めたわけ

川村美紀子さん。2年前、束芋の舞台美術が目当てで見に行った青山円形劇場「錆から出た実」での、独特な存在感が印象に残りました。何より、バリカンの衝撃で名前を覚えた。。。そして、その衝撃でダンスについては完全に忘れた苦笑。鈴木ユキオさんが目当てで見ていた「ダンスがみたい!17」のページで名前を見つけ、ちゃんと見てみたいと思って、三回券を買って予約してみたのでした。

川村美紀子さん、強え!

踊るスペースを円形に取り囲むように客席が配置された、小さな舞台の中央に、白いバラの花。開始時刻になり照明が落ちる。真っ暗な中から、散らばった花びらと、床にうつぶせになった川村美紀子さんがあらわれる。眠りから覚めたようにゆっくりと起き上がり、歌ったり、怒鳴ったり、衣装着たり、髪を結いたり。そして踊りだす。

振付は音楽にがっつり合わせて作られていました。特に身体をくねらせて動かす振付の部分。まるで川村美紀子さんの体内に別の生き物がいて、流れるピアノの「春の祭典」は、そいつから発せられる音楽のようでした。体内というのは、筋肉とかじゃなくてもっと内蔵的な。口からその生き物が出てきても不思議じゃない気がした。

音楽を、音をひとつひとつ丁寧に解析して、身体の部位を細分化して当てはめたような感じの振付は、自身が聴こえた音楽をそのまま素直に身体の動きに置き換えているように見えました。中には、見たことのある動き、親しみのある動きも。ヒップホップに近い動きや、操り糸のような動き。ピアノの音に合わせてピアノを弾くような指の動きや、指を数える遊び、人差し指と中指を人のように歩かせる、といった幼いころを思い出すような素朴な動き。手・指をかなり使っていて、未熟な私はその表情から何を、どのくらい読み取っていいのか戸惑ってしまいました。

川村美紀子さんのダンスは、持て余した激情をぶつけるような、ちぎれてしまいそうなダンスでした。内面から、何かが噴き出すような踊り。その何かをどう言葉で表現したらいいか分からないけど。トランス状態でありながら、自己をはっきりとあらわし、外へ外へと噴き出すようなダンスが印象的だった。時間に沿って踊りが進むとともに、白い花びらが足元で蹴散らされていくのが、なんとなく象徴的に見えました。

あれだけせまいスペースで、至近距離で大勢で一人の身体を凝視する。パフォーマンスなら当たり前のことかもしれないけど、でもやっぱりそれって結構すごいことですよね。ある意味陵辱的というか。それを全て跳ね返す川村美紀子さん、強え!と思いました。何にも臆すことなく、場をつくる圧のあるダンサー。

何に、かは分からないけど、なんだか共感するダンスだったのが不思議です。あんなにも激しいのに。大事な部分ばかりがことごとく言葉にできてないけど、その部分が、今の川村美紀子さんの魅力の核心部分な気がしました。1990年生まれということは今25歳。この人はこれからその身体に、どんなふうに時間を重ねていくのだろ。

おわりに

バリカンのイメージが強すぎて何が起こるかドキドキしていたんだけど、真っ当にとってもダンスでした(怒鳴ったときの迫力はすごくて、怯んでしまったけど)。こんなにガツガツ踊る方だったんですね。それにしても、ソロはいいものだ。当たり前だけど一人のダンサーをずっと見ていられるので、良いなぁと思いました!やっぱりダンサーの身体見るの好き。ぐふふ。10月の公演、どうしよう。とりあえず今は、お腹いっぱいです笑。

覚書:川村美紀子さん

HP kawamuramikiko.com

Twitter 川村美紀子 (@KawamuraMikiko)

映像


川村美紀子「春の祭典」trailer - YouTube


川村美紀子「インナーマミー」 - YouTube