分からないけど、面白い。

コンテンポラリーダンスを見るひと初心者のブログ

難しくてよく分からない。分からないけど、なんか面白い。コンテンポラリーダンス!

脳と身体とダンス

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ブログを更新するのが4ヶ月以上ぶりです。

11月の頭に親が入院し、それから怒涛のように時間が過ぎました。とっていたダンスのチケットは全ておじゃんになり、F/Tも1本も見られず…かなり残念でしたが、こういうこともありますね。 

親の入院の理由は脳内出血だったのですが、久しぶりにこのブログを開いたからやっぱり身体のことを考えてみようかと。

脳内出血が起きると、部位や出血量にもよりますが身体に麻痺がおきます。

私の親の場合は運動麻痺は軽かったのですが、「平衡障害」「感覚麻痺」などが強く出ました。身体麻痺は軽いので足を動かすことはできるけど、平衡感覚がないから、足の裏の感覚がないから、歩けない。身体は動くのに、歩き方がわからなくなってしまった。という状態でした。

動かすことはできるのに、歩けない。

健康体の自分からすると、とても不思議です。普段ダンスを見る時は、身体や筋肉のことばかり考えているけれど、身体を動かしているのはまぎれもなく「脳」なんだなぁと改めて知らされました。

発症からもうすぐ4ヶ月。懸命なリハビリによって、車椅子から、杖なしで歩くことができるまでになりました。繰り返しのトレーニングが、脳の機能を補い回復させていく。身内のことながら、感動しました。

ダンサーも、身体の動きを繰り返し練習することによって、それを脳に刷り込んでいるのだと思います。筋肉は、その動きを実現するためについてくるもの。あらゆる動きのコントロール、足の裏や腕や筋肉のすべての感覚…それらは、脳につかさどられているのです。

身体と脳はあわせてひとつ。踊る身体は、踊る脳でもある。

ちょっと意味が分からないかもしれませんが笑、自分としては新しい視点を手に入れた気分です。もうちょっといろいろ書きたいのですが、今日はここまで。まだ考えがふわふわしているので、もう少しまとまった時間のあるときに続きを考えてみたいと思います。

2016/1/29 インバル・ピント&アブシャロム・ポラック ダンス・カンパニー「DUST - ダスト」 @彩の国さいたま芸術劇場

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3ヶ月以上ぶりのダンス鑑賞、3ヶ月以上ぶりのダンス鑑賞のきろく。生活がダンスやアートから完全に離れていたせいか、とても新鮮な気持ちで見ることができました。やっぱり私の人生には芸術がなくちゃ、と、しみじみ…。ダンスを見るのも、感想書くのも、なんだかリハビリみたい。時間もなかなかとれず、アップまで2週間以上かかってしまいました。

見に行くと決めたわけ

たまたまテレビで自撮りのドキュメンタリー番組がやっていて、森山未來さんのイスラエル滞在の様子を見たのがきっかけ。だいぶ前だったと思うけど…「踊る阿呆」というタイトルがついていたみたいです。とにかくその作品の日本公演があると知り、すぐにチケットをとりました!

ダンサーは、身体で話す

入りは、独特な線画のアニメーションから。帯のような細長いスクリーンに映しだされます。洪水のような大量の水に、ものが押し流されたり、建物がひたっていたり…水の流れをたどっていくと、教室のような部屋の中で、女の子が涙を流していました。災害の描写でありながら、どこか幻想的なアニメーションは女の子の夢のよう。

舞台には机と椅子がならべられ、同じ格好をした5人の生徒が座っています。女の子はおさげの髪型でそろえていて、なんとなく無邪気さを感じます。登場人物はもう一人、先生のような青い服の男性。ひとり愚かで滑稽な人物に見えます。そして舞台のすみには、ユーモラスだけれどどこか気味の悪い、黒い格好の何ものかがそっと存在している。

ダンサーが踊り出すと、ぶわっと久しぶりの感覚が!!ダンサーは、身体で話すんだ。と、改めて。ある意味当たり前のようにも思えるけど、それを感じられるって、すごく貴重なことですよね。

なんというか、ずっと風が吹いているような感覚のする作品でした。音のせいもあるのかもしれないけど、もっと精神的な意味で。うまく表現できないけれど、ずっとその、どこか乾いていて冷めたような風を、ひゅうひゅうと体をさらすような感覚で、感じていました。

とても豊かな舞台なのに、その風は、何もない虚無感、そわそわした落ち着かなさ、ちょっとした絶望みたいなものをはらんでいました。けれどそこには、ずっと続いていくものの普遍さも、同時に存在しているよう。そんな風を感じさせる作品でした。

感想が抽象的ですね。。。

無表情で踊り続けるダンサーたちからも、そんな印象を受けたのかもしれません。DUST…ちりが風に飛ばされ、積もり、また飛ばされ、という無常観も、風のイメージとつながります。でも、決して熱を失ったわけではない。無表情でありながらも、ダンサーたちの力強さが、そう感じさせてくれました。

舞台の上では、いろいろなものがやってくる/出て行くドアが気になりました。どこか別の世界につながる、小さなドア。(最後に長ーーーい棒が出てきたのにはびっくり。。。)ドアには窓がついていて、それもところどころで演出のポイントになっていました。机についていた窓もそうですが、あちらとこちらを行き来する穴には何か特別さを感じてしまう。

その他、ダンサーがひとりずつ、時計の秒針のように時間差で動いていく振付や、椅子とのダンスなど、見どころも多くて楽しかったです!森山未來さんのダンスも初めて生で見て、こんなに踊れる人なんだーと感動。平日夜にはるばる埼玉まで行ったかいが本当にありました!!

おわりに

ドラマチックに展開しつつ、詩情があって心にじんわりと響く。素晴らしい作品でした!狭い部屋の中が、どこまでも無限に広がる。やっぱりこれが舞台の魅力!!久しぶりにダンス鑑賞の楽しさを味わわせてくれたこの作品に感謝です。

それにしても。観ることも、書くことも、感覚を取り戻すまで少し時間がかかりそうです。。。本来2月はTPAMなどダンスが楽しいシーズンですが(そしてそれを楽しみにしていたのですが)、私はしばらく、ゆっくりモードの運転になる予定です。

覚書: インバル・ピント&アブシャロム・ポラック ダンス・カンパニー

HP Inbal Pinto & Avshalom Pollak Dance Company

映像


WRAPPED | Inbal Pinto & Avshalom Pollak

 


Inbal Pinto & Avshalom Pollak Dance Company - Wallflower

ダンスの動画

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これまで、ダンスを動画で見ることには全く興味がありませんでした。というか、動画でダンスを見るという発想がなかったです。

ですが、8月にこのブログを始めてから、ちょこちょこ見るようになりました。自分の備忘のために、鑑賞記録の末尾にそのダンサーの動画を入れるようになったのがきっかけです。まるまる1本見ることはあまりありませんが、それでもダンサーのことを知るきっかけにはなります。

最近では、どの作品を見に行くか迷ったら、動画もちょっと見てみたりしています。私のようにあまりダンサーやカンパニーのことを知らない初心者が、どの作品を見に行ったらいいか分からないとき、動画は手がかりの一つになるかなと思いました。

あくまで手がかりであって、それで「見ない」と決めてしまうのは、可能性を狭めてしまうと思うけれど…動画だと伝わりにくい魅力を持ってるダンサーというのもいると思いますしね。

とはいえ、実際に見に行ったダンサーの過去の作品なども知ることができ、なかなか良いかなーと思っています。これからもちょいちょい見てみようっと。

2015/10/05 バットシェバ舞踊団「DECADANCE」 @神奈川県民ホール 大ホール

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強靭な肉体、ダンサー1人ひとりが放つ圧倒的な存在感!ダンスの魅力の全てが詰まった、最高の舞台でした!!思い出すだけで興奮してくる、踊れないのに踊りだしたくなる。やっぱり見に行って良かった、バットシェバ舞踊団。興奮して長々と書いてしまい、あまりにもとりとめなく推敲も足りないけれど、とりあえずこの興奮を書き留めておきたい。

見に行くと決めたわけ

そもそも、初めて覚えたコンテンポラリーダンスのカンパニーの名前がバットシェバ舞踊団だったんです。まだコンテンポラリーダンスに親しみがないころ、友達に誘われて乗越たかおさんの講座に参加したことがありました(それで彼のことは前から知ってた)。その日に覚えて帰った名前はたったのひとつだけ。それが、バットシェバ舞踊団でした。ムービー見て「すげー!!この動き変態!!!」って、強烈なインパクトだった。

どうしても生で見てみたくて、彩の国さいたま芸術劇場に「Sadeh21」を見に行ったのが3年前。まともな感想メモも残っておらず記憶は時間とともに薄れ、衝撃だけが脳内に残っていつの間にかもう3年。こんなにコンテンポラリーダンスにハマるなんて、まったく想像もしていなかった当時、それでも次回に来日することがあったらまた絶対見ようと決めていました。待望の来日公演です!!

熱いぜバットシェバ舞踊団!!

席は、ダンサーの身体も舞台全体も一応見える8列目のはし。座ってふと気が付くと、舞台上に男性ダンサーが1人いて、ソロを踊り始めていました。明るいラテンミュージックで、リラックス&ウェルカムムード。開演時刻前から楽しい!!身体の支点はどこにあるのか、あの関節はどこまで伸びるのか、というかあれは人間の動きなのか!?これから始まる作品と、ダンサーたちへの期待が高まります。

時間が来ると、徐々にダンサーが加わり、それぞれにリズムをとりながら人数が増えていきます。振り付けが全員そろった瞬間、グイッと世界に引き込まれる!!とても素敵なオープニングでした!幕がおり、期待感は最高潮!!

今回は過去9作品のオムニバスとのことで、全部書くときりがないし詳細は記憶もあやふやなので、印象に残った部分だけかいつまんで。順番は実際と違うかも。

最初の椅子を使った作品は、とても有名な作品だそう。すごい迫力でした。全員が順に椅子から立ち上がるが、右端の1人だけが毎回跳ね落ちてしまう。すごい圧力の合唱の中、右端の1人はよろよろと立ち上がる。全員が順に踊るのだが、振り付けが進んでもその1人だけは服も脱がず、投げるふりだけ。抑圧されているようでも、何かに立ち向かうようでもあり、力強さも感じました。切実な表現。あまり詳しく知らないけれど、イスラエルという国の歴史や、イスラエルの社会の抱えるものが伝わってくる気がしました。

Twitterを見ていたら、この演目で使われている「Echad Mi Yodea」という音楽を紹介している方がいました。少し調べてみたところ、ユダヤ教過越の祭り(ペサハ)で歌われる歌とのこと。とても宗教的で、想像するにかなりメジャーな歌なのでしょうね。英語のWikipediaGoogle翻訳に貼っつけたものを読んだだけなのでよくは分からないのですが、子どもの歌う数え歌のようでもあるみたいです。こちらの動画で歌詞が英訳されています。


Echad Mi Yodea lyrics and translation אחד מי יודע - YouTube

ちょっと話が脇道に行ったけど、とにかくダンスの迫力がすごくて、圧倒されました!!! あふれるパワー。

あ、このペースだといつまでも終わらなさそう。。

舞台の前側に列を作って1人ずつ踊る、野性的な、どこか儀式のような作品も良かった。並んでいるダンサーがかわるがわるソロダンスを披露していくのだが、最後の止めのところだけ全員が動きをそろえる。こういう快感が、ダンスの醍醐味の一つだよなぁ!と思ったり。両腕を激しく振る動きも野性的で良かったけど、上半身を少しだけくいっとするような、さりげないフリで全員揃えているのがすごく面白かった。

男女のデュオ(あやふやですがたしか)では、人間って、男女って、どういう存在なんだろうなどと考えてみたり。

黒のスーツに帽子をかぶった衣装で大勢が登場すると、ガッツリ高速のカッコよすぎる振り付け!!激しすぎて帽子が飛んで、慌ててかぶり直すダンサーも笑。

観客がステージに上げられるシーンは、すごく楽しかった。あまりにもSadeh21のイメージが強かったので、観客を引き込むエンターテイメントな雰囲気に少し驚いたけれど、各所で上演されているとても有名な作品なんですね。

舞台に上がった方の中にはおそらく普段からダンスをしている方も何人もいらっしゃいましたが、そうでない方もとても魅力的!きっとエスコートが素晴らしいんですね。観客自ら思いついた手のひらの動きをダンサーが真似するなど、ペアになった観客とダンサーのコミュニケーションが温かく伝わってきて、本当に幸せ気分。そうだよ、ダンスって誰でも楽しめるし、楽しく身体を動かせばそれが踊りなんだよ。ダンスのもつ一番ピュアな魅力が、劇場全体に充満するようでした。最後に1人残された年配の女性が、とても素敵だった笑。

3年前に見たSadeh21。どんな舞台だったか、なんとなくの印象しか残っていなかったのだけれど、肩に女性をのせた男性ダンサーが歩いてくると、鮮やかに記憶が蘇りました。本当に美しい作品だった。劇場という限られた空間の中に、無限の地平が広がる。人の身体の表現の可能性ってすごい。目の前のステージを見ながら、その時の感動が再びやってきて、全身を震わせてくれました。他の作品も、過去に見たことのある人は今日は最高だっただろうな。

男性1人、女性2人の3人で踊るシーンは、とにかくそれぞれの身体に釘付け。伸びやかで強靭な身体は、一瞬、その日々の鍛錬のことすら忘れてしまうほど、自然。不思議なんだけれど。この自然さは、私がこれまで見た他のダンスにはなかった魅力かもしれません。彼らは、生きるように踊っているのだろうか。

男性がかがんで両腕を前に出し、女性にむかって突き出して少しずつ進み、女性を突き飛ばしてはまた戻ってくるシーンには、何か共感できる物語を感じました。男性/女性に分かれてのコンパクトな群舞も、不思議と個性が見えてとてもおもしろかったです。

個人的に一番ぞくぞくきたのが、数を数えながら動きを増やしていくシーン!数字の聞き取りには自信がないですが、パンフレットを読むとギリシャ語?のようです。

ウーノ

ウーノ、ドゥオ

ウーノ、ドゥオ、テーラ

ウーノ、ドゥオ、テーラ…ネフタ、デカ

と10まで数え、その数字に合わせてフリが1つずつ増えていきます。とにかくカッコイイ!説明はできないけど、なぜか、これぞダンスって感じがありました。ちなみにタイトルのDECADANCEはDeca Dance、10周年の「10(デカ)」とダンスを合わせた語とのこと。このシーンでは、10の動きで構成されたダンスが次々と繰り広げられていきます。

※末尾に入れた動画「Deca Dance」の、54分過ぎたぐらいのところから。

他は知らないですが、ストリートダンスの練習ではこの振付のように、前からワンエイトぐらいずつ追加してフリを入れていくことが多いんですよね。1つずつ追加していくのはすごく基礎的なやり方という個人的な感覚があって。そんな私個人の体験と、ステージ上のパフォーマンスが同じ地平のもとにつながっているという気がして、そこでも少しぞくぞくきました。いや、とはいっても果てしなく遠くではあるんですが笑。

でも、身体を動かすことやその喜びは、プロダンサーじゃなくても共有できるもの。それもダンスの素晴らしさだと思います。

全員が満面の笑みでピッピッと腕を動かしているシーンは、面白かったけどなんか怖かった笑。

終盤の、3列になり一人ひとり踊るところ。色々なことを感じたけれど、今の彼らの、未来に向かうダンスなのかなと思いました。ダンスとは、これだ!というメッセージのように思えた。お腹や手のひらを見せる様子も印象的でした。人種や国を超えるダンスの力がある、そんなメッセージを(勝手に)受け取りました。

力強く、ハンパない熱量のパフォーマンス。最後まで集中を切らさず、本当に楽しく見ることができました。

驚愕すべき肉体。迫力。力強さ。
切実さ。社会とのかかわり。
野生。儀式。快感。
スピーディーでエネルギッシュな身体。
楽しさ。エンターテイメント。
一体感。幸福感。祝祭性。
美しさ。伸びやかで強靭な身体。
物語。共感。トランス。喜び。
生きること、人間とはなにか、という
普遍的な問い。

自分の感想からキーワードを拾い出してみただけでも、こんなにたくさんの「ダンスの魅力」が、このDECADANCEには詰まっていました!!!贅沢過ぎるぜ、DECADANCE!!!!!

全てを支えているのが、ダンサーたちのしなやかで強靭な肉体。強さもそうだけど、止めが自然なのがすごく美しかった。ストリートダンスだとガツッと止める感じだけど、そうじゃなくて自然な止め。でも、それがすごくカッコイイ。

ちなみにストリートダンスとの関連は乗越さんもつぶやいてたのがちょっとビックリした。(そして彼のそういうところが好き)

本当、ストリートダンスの人たちもこういう舞台を見に来たらいいと思う。世界が変わるよ!私は少なくともそうだった(今はもう踊る人じゃないけど)。

おわりに

過去作品を抜粋しながら、カンパニーのエッセンスを詰め込んだひとつの作品。人はなぜ踊るのか。踊りとは何か。これが答えだ!!みたいな、素晴らしいステージでした。

ただ、やっぱりオムニバス作品なので、「1本の作品をフルで見たい!」という欲求は強まるばかり。いろんな美味しいものを少しずつ味見だけしたら、すごくお腹が減ったみたいな感じです。全体のストーリーを感じる作品をまるまる1本見たい、という欲求不満を残しつつも、こんな宝石箱のようなスペシャル公演を見られただけで大満足です。(これが6000円ですよ!?)

公演の後、分かりやすいフリを真似して踊っちゃいました。天と地ほども違う、超劣化版だけど笑。踊りたくなるダンス、それこそが素晴らしい踊り!!

覚書:バットシェバ舞踊団

HP http://batsheva.co.il/en/home

今回とは別の公演ですが、DECADANCE、Youtubeにまるまる上がっていました!うおお〜。


Ohad Naharin Deca Dance - YouTube

 

 

 

ダンスは最前列で見る!

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ダンスを見に行くときは、できるだけ最前列で見るのが好き。ストリートダンス時代に身についた好みかもしれません。

一番大きな理由は、足元まで全身を見たいから!!2列目以降だと、足先が見えないときがあるのが嫌なんです。

もうひとつの理由は、やっぱり近ければ近いだけ、ダンサーの肉体を感じて迫力があるから。特にソロダンスなんか、最前列で見ない理由がない!息遣いや飛び散る汗までも見逃すことのない、最前列はやっぱり最高。

でも意外と最前列ってみんなが座るわけじゃないですよね?入場時間に遅れても、わりと空席が残ってる気がする。なんでだろう。私は遠慮しないぞ!

最前列好きの弊害は、大人数出る舞台と頭では分かっていても、できるだけ前の方の席を選んでしまうこと。。近すぎると構成とかあまり分からないし、舞台上の別の場所で同時に踊られたりすると目が足りなくて困る。大人数出る作品は、舞台も広いから指定席にしてくれー!

などと悩みながらも、なるべく舞台に近いところに座ってしまう。今のところ私は、全体の構成よりも、ダンサー個々の身体に興味があるのかもしれないですね。

最前列が、やっぱり最高。

2015/9/17 Co.山田うん「舞踊奇想曲 モナカ」@KAAT大スタジオ

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熱を出して寝込んでしまい、書くのがすっかり遅くなってしまった…。しかも、直後に書いた感想メモがすごく断片的。1週間が経って振り返る今、公演の記憶は時系列ではなく、チラシにあった"層"みたいに折り重なり並行して思い出される。うまくいくか分からないけど、その記憶の地層から、感じたことを改めて一つずつ取り出してみたいと思います。

見に行くと決めたわけ

山田うんさん、なんか印象に残る名前だなぁ。と思ったのが最初で、その後名前は見かけていたものの、実際に公演を見たことがありませんでした。気になってTwitterでフォローしていたところ、新作公演の情報をつぶやいていらしたのですぐに予約。どんなダンスなのか全く知らずに行ってきました。16人もダンサーが出る作品なんて!

Co.山田うん、目が離せない群舞。

とにかく、とても楽しかったです!ダンス見るって楽しいよね。60分、あっという間に終わりました。

全体を通して、時間の層を重ねてゆく輪唱みたいな群舞に見入ってしまいました。押し寄せるように、次々と驚きが起こり、その次の瞬間に何が待っているのかと期待してしまう。その感覚にやみつきになってしまいそう。私は大勢のダンスを見慣れていないけど、構成が素晴らしくて、見づらい感じが全くしなかったのが良かったです。

舞台の上の16人を見ていると、個と秩序、そんな言葉がうかびました。全体でまとまってはいない。でも、秩序がある。ひとりひとりが意志を持ち、自分を、まわりを信じている感じ。関わっているようで、関わっていないようで、やはり関わっている。うまく表現できないけれど、そんな関係性に強い魅力を感じました。

受けた印象は、人よりもかしこい動物、みたいな感じ。受け入れている、知っている、たしかめる、といったようなイメージ。時間がテーマだからかな。ダンサーたちは、いまここにある身体、いまここにいる場所をたしかめながら、その場で次元を上げていくよう。

バターンと倒れたりドタドタと走ったり、重力を感じる振付も多かった。男性が輪になって走るところは迫力!ソロやデュオも良かった。ダンサーの筋肉を感じる振付と重力を感じる振付、どちらも面白かったです。群舞のなか1人で踊るところなども含め、ダンサー個々の持ち味も大事にされているように感じた。丁寧に一人ひとり見て振り付けているんだろうなぁ。

あ、あと忘れちゃいけないのが音!音がかっこよかった!!!音と、次々に驚きの起こる群舞が、たたみかけてくる感じがたまらない。音楽と、ダンスと、自分の、うねるような一体感がとても良かったです。こんな作品を考え出せることもすごいけど、実際にダンサーたちと形にできるということが、本当にすごい!

今回の公演で受けた様々な印象から、山田うんさんって素敵な人なんだろうなーと思いました。

おわりに

全体的に明るくエネルギッシュで、元気の出る公演でした!安保法案の件で暗い気持ちのまま行ったので、私にとってはそれがとても良かったです。皆が一様に考えることを強制し違うものを排するのではなく、個の考えがありながらも秩序を保つことができる。そんな有機的な社会を、前向きに考えていけたらいいよなぁ。

最後に、後悔したことが、一つだけ…。16人出ると分かっていながら、ダンスはなるべく前の方の席で見たいという意識がはたらいてしまい、座ったのは2列目。しかし群舞が面白かったので、もっと舞台全体を見渡せる席で見ればよかったと思った。うう、反省。。。

とても言葉にするのが難しかったんだけど、これを書き終えたあとに感想まとめを見たら、こんなふうに言葉にできるなんて…と思った表現がたくさんだった。他の人がどう感じたか、どう表現しているかも面白い!

覚書:山田うんさん

HP http://yamadaun.jp/

Twitter Un Yamada (@uncoubou)  カンパニー: Co.山田うん (@CoYamadaUn)

映像


Co.Yamada Un“Jusanya” 「十三夜」 - YouTube


Co.Yamada Un “The Seven Deadly Sins” Co.山田うん 七つの ...

コンテンポラリーダンスは、マニアックなの?

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先日、大学時代の友人とお茶をしながらおしゃべりしていた時に、最近コンテンポラリーダンスを見るのが面白くなってハマってると言ったら「マニアックだね!」と言わた。あんまり自覚がなかったので驚いた笑。

でも、言われてみればそうかも。私もハマるまで、とにかく、「分からないもの」だと思ってた。それにそもそも、一般に名前を知られているダンサーも少ないんじゃ?ダンス界で大御所のダンサーでも、まだまだ名前知らない人たくさんいるし。。ていうか、コンテンポラリーダンスって何なのか、定義じたいよく分からないし。

友人が言うには、見ても「意味が分からない」。たしかに。言葉を使うことは少ないし、誰かが説明してくれるわけでもないし(言葉が使われてても意味分からないことも多いし)。言われてみれば、以前はコンテンポラリーダンスって、舞台の上を歩きまわってなんかよく分からない動きをして、わーっと人数が増えて盛り上がって、よく分からないうちに終わる、みたいに思ってたや。いや今考えたらかなり失礼だけど。でも、それが正直な感想だった。

うーん、何をきっかけに面白いと思うようになったのかなー。確か、初めて見に行ったコンテンポラリーダンスは、もう詳しくは忘れちゃったけど、あんまり面白いとは思わなかったな。そのときは、まさに「なんかよくわかんないや」で終わった気がする。

高校〜大学まで5年くらいストリートダンスをやっていたので、ダンスには親しみがある方だと思う。ストリートダンスは、とにかくかっこいいかどうか。そして、ぞくっとするようなかっこよさは、日々の練習の中からしかでてこない。人のダンスを見るとき、意味やストーリーなんて考えたことなかった。当時は、とにかくかっこいいダンサーを夢中で見てた。

たぶん初めて本当に「コンテンポラリーダンスかっこいい!」と思ったのが、たまたま機会を得て見た鈴木ユキオさん。ストリートダンスうまい人を見る時に感じるかっこよさと、同じかっこよさを、鈴木ユキオさんの身体に感じた気がする。ダンス詳しい人に言ったら怒られちゃうのかもしれないけど。

その時から数年間、心にひっかかっていたものをどんどん取り出してみてるのがここ最近。急激にハマりだしたのはたぶん、「意味を読み取ること」はとりあえず置いておいて、「身体の美しさ、かっこよさ」を主眼に楽しんでるからかもしれない。あとは、「何を読み取ろうが私の勝手!」と開き直ったことかな。ダンサーの意図がどうだろうと、見て感じるのは私なんだから、私の感じ方でいいやと。

私がコンテンポラリーダンスの魅惑の世界に入門したきっかけはこんな感じ。人によってきっかけは違うんだろうけど、やっぱりある程度質の高いパフォーマンスを間近で見る機会が必要なのかな。

なんか話がそれた。

まあ、ダンスを見るのが好きって時点である程度マニアックなのかな…でもさ、徳島の阿波踊りに100万人とか集まってるわけでしょ!?100万人って超メジャーじゃん!?とも思うわけで。でもやっぱりマニアックなのかな。うん。

たぶん、ダンスは生身の身体だけで勝負しているから、直接見ることができる人数が圧倒的に少ないんだよね。ヒット曲を聞いて音楽ライブを見に行ったり、テレビで紹介された有名画家の絵画を見に行くのとは違うかもしれないよね。

ぐだぐだ。

そんなこと考えるのはやめて、とりあえず今度、その友人を誘ってなにか見に行ってみようかな。